山の会議(仮)に参加して③ 山間部を活性化するということ

今日は脊振村3代目村長 徳川権七翁の命日

徳川権七翁

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当時の脊振村は貧しく、離村する者が後を絶たなかったが、村を上げて植林事業を行った。 結果数十年後には村は豊かになり、一時は村民税が0の時もあったという。

 

20代のころ、短い間だが林業に触れ、間伐や枝打ちをやったことがある。 それまでは自然林と人工林の区別もつかず、身近にある杉や檜は、戦後大規模な植林により植えられたもので、人が入り手を加えなければならないなんて知らなかった。

国産木材の価格がさがり、森は荒れ、それが災害や花粉症の要因になっているとも知った。

 

林業を体験してとても印象に残っていることがある。 それは山で実際に生業として林業をしていた方の言葉。 

「100年の森づくり」 

植林した木が大木となり、切り出されるのはおよそ80年から100年後。 

とても息の長い時間であり、その恩恵を受けることができるのは、当の本人からしたら、孫かひ孫くらいの世代になる。 

今直接の恩恵ではなくて、自分がいなくなった後の子孫の事を考えてのスケール感に胸熱になったものだ。

 

当時の脊振村も、食うや食わずの状況での植林事業には猛反対があり、村は賛成、反対と真っ二つに割れ、揉め事にまでなったらしい。

そんな中、自分たちの食べものよりも、次代の豊かさを見据えて行った3000ヘクタールに及ぶ植林事業にはやはり胸を打つものがある。

 

脊振では学校の授業でも徳川権七翁のストーリーはよく伝えられている。

 

最近自分自身、「継承」 について良く考える。

過去から未来へと繋がる、「今」をこの世に生きている自分は、何を受け継ぎ、何を引き継ぐべきか。

命 DNA  はもちろんあるが、今を生きている人は過去生きてきた人々の恩恵を受けていると思う。

例えば、ブログを打っているスマホも沢山の技術の集積から生み出されたものだし、身近にあるものやさまざまな技術や知識も過去生きた膨大な人々の人生と努力の賜物だと思う。

 

分かりやすく恩恵と言えるものばかりでは無く、負債というか、負の遺産とでも言うべきものも沢山あるのは分かる。 

例えば、戦争 原発 核廃棄物 気候変動etc

 

グレタさんじゃないが、「なんてものを残してくれたんじや、このボケが‼️」って言いたくなる気持ちも分かる。出来れば宝だけ引き継いで、負債はもらいたくないだろう。(笑)

しかし、駅伝のタスキの様に命のリレーで生かされている私たちは、全てをひっくるめて、まずは引き受けるしかないと思う。 前の走者がドンけつで走ってきて、「何やっとんじゃボケ! やってられるか。」となれば、そこでリタイヤだろうし、よし、自分が挽回して見せる!と全力を出せばチャンスは巡ってくるだろう。

だから、良いものは更に良くして、課題や負債はなるべく解決して、次代に引き継ぐのが責任なんじゃないかと思っている。

より良くするために現状を否定し、変えていく時、憎しみを持って破壊するのか、過去の人々へのリスペクトと感謝を持ってするのか、では結果も違ってくるし、豊かなのではなかろうか。

 

今、脊振をはじめ過去の人々が植えた杉、ヒノキの森は手入れが行き届かず、日の光が差し込まず、台風によって薙ぎ倒され、保水力も無いので災害が起きやすく。次代の幸を願って植えられた森は、どちらかといえば、厄介なお荷物の認識になりつつある。

 

その様に形は時代の流れによって陳腐化したり、無用化したり、かえって厄介なものになったりする。

 

だからもちろん、それらを改善していくのも大事だが、受け継ぎ、引き継ぐべきは「想い」だと思う。

 

時代は変わっても、変わらないものは、故郷を良くしたいという思いであろうし、次代の人々の幸せだとするならば。そのスピリットを引き継げれば、後はどんな生業であっても活きてくると思う。

 

保存活動をされていた徳川権七翁の生家も、

木を売って作った自校式給食も、残念ながら形は無くなってしまった。

 

https://search.yahoo.co.jp/amp/s/www.asahi.com/amp/articles/photo/AS20190730002474.html%3Fusqp%3Dmq331AQQKAGYAf-CvqGg2KekFrABIA%253D%253D

 

悲しいことだが、だからこそ、そのスピリットはしっかりと受け止めたいと思う。 

そして、自分の仕事を通して表現したいと思う。

 

次回はいよいよまとめになる予定です。(笑)